幻想のしなやかBody
先日のブログで、ある生徒さんが「ヨガには羞恥心の払拭が大事!」「体が硬いのは恥ずかしかったけれど、思い切ってヨガをやってみてよかった」と話してくださったエピソードを書きました。
「これまでの見方が変わった!」と喜んでいる姿を見て同じように嬉しく感じました。
ヨガをまだ体験したことがない方から私がよく聞くフレーズで、ダントツの1位は
「カラダが硬いのでできない」です。
他にも
「本当に柔らかくなりますか?」
「やせますか?」
「もっとポーズができるようになってからの方がいいですか?」といった質問が多いです。特に最後の質問は、私自身も同じように思っていた時期があり、しばらく習いに行けず、自主練ばかりしていました。いざ思い切って門を叩いてみると、「もっと早く始めればよかった」と後悔しました。
私の場合は、腹圧が完全に抜けたまま形だけ真似てポーズをしていたので、腰にずっと負担をかけ続けていたことに気づいたのです。正しい方法で、自分の体を理解しながら動く大切さを知りました。
最近、ブログを更新するようになってから、「過去の私はどうだったかな」と振り返る機会が増えました。ですが、ヨガを始めたのはかなり前のことなので、すぐには思い出せない部分もあります。
そんな中、学生時代の友人からこんな一言を告げられました。
「よくヨガ講師をやろうと思ったね。あんなに硬かったのに」
最初は冗談だと思いましたが、空手部や道場で一緒に過ごしていた仲間たちも口を揃えて同じことを言うので、どうやら事実のようです(笑)
その頃の記憶がほとんどないのは、私の空手技が初動の左拳一本(全くヨガっぽくない)だったので、体の柔軟性は重要だと感じていなかったからだと思います。
「私は、そこそこしなやかだったはず」と思い込んでいました。でも、それはどうやら幻想だったようです。友人に「どれくらい体が硬かったか再現して」とお願いしてみたら……
その再現ぶりを見て、「よくヨガ講師になれたね」と言われた理由に納得しました。
つまり、私はもともとの「しなやかBody」ではなく、ヨガを継続することで柔軟性を高めた代表例です。ヨガは、「しなやかBody選手権」ではなく、自分との対話。選手権にエントリーしなくても、どんな人でも楽しめると言うことを伝えられたらいいなと思います。
私をずっと悩ませるほどガチガチだった右の股関節も少しずつ柔軟になってきていて、「柔軟性は年齢に関係なく向上する」ことも実感しています。そして、一番良い変化だと感じているのは、左右差があってもあまり気にならなくなったこと。「これが私です」と、今の自分を受け入れられるようになったことです。
日々の過ごし方や気温でも柔軟性はかなり変わるので、「今日は柔らかかった」「今日は硬かった」などと毎回○か×かで判断するよりも、「ああ。今日はそうなのね」と観察して受け止める方が、ヨガマットから離れている多くの時間も心地よく平穏に過ごせます。柔軟性やポーズに支配されすぎない、ちょうど良いバランスを自分との対話で見つけるように取り組むのがおすすめです。私は今でもバランスを崩しかけますし、「これじゃ、ダメじゃん」と癖で考えてしまいますが、「これじゃ、…」でハッと気づいて、「崩れてもOK」と思い直し、また心と体を整える。そんな日々を継続中です。
「柔らかくなること以上に、ヨガには素晴らしいメリットがありますよ」ということも、これから伝えていきたいと思います。